No1からの続き。
今年のスーパースポーツの顔といえば、イタルデザインのGTR。
これがすべてを象徴していると感じています。日本車が、条件付とはいえ、1億円を超えるクルマになるなんて…
日本人としては誇らしい一方、戦後、日本の若者が作り上げてきたスポーツカー文化は、完全に無視をされたようにも感じます。安くて、欠点があって、それを自分流に改造して、ユーザーやショップが競いあって作り上げられてきた歴史の否定ともいえます。
私もスーパーカー世代。
だから、子どもの頃、日本車には無いど迫力な外車スーパーカーを見て、それに少しでも自分の車を似せたり、速くしたりすることが喜びでした。ところが、最近の最新ジャパニーズスポーツは、良くも悪くも完璧で高額。
シビックは、市民(CIVIC)のためのクルマ、というコンセプトで作られたはずが、タイプRはなんと500万円越え…
NSXなんて普通の人間に購入できるようなレベルにはありません。
新型スープラにいたっては、MADE IN BMW。
もはや日本車ですら無い…
ちょっと悲しく感じてしまうのは、これじゃ、クルマが持つヒストリーが無視されてしまっているということ。
庶民が購入できるAE86が世界的に人気なのは、ただ速ければ良いのではなく、そのクルマの背後のストーリーがユーザーを熱狂させているということを、メーカーさんが無視してしまっているのは、正直、悲しい。
札束でヒトの顔をはたくような行動をする人間は、いくらカネがあっても尊敬されない。ところが、今の日本は、そういうお金持ちが、カネを世間に見せ付けることを、「カッコ良い」と感じてしまうヒトが多い。
世界ではそうであっても、日本には日本独自のつつましさ、潔よさ、奥ゆかしさ、矜持というものがあったはずなのに…日本のスポーツカーは世界のセレブに売るために、売れるために作られてしまっているのでは…
とはいえ、クルマに罪は無いし、実車を前にすると、スープラもGTRも外車も、どれもカッコ良い…
圧倒されちゃいます。
日本のチューニング業界も、健在!
やっぱりコチラのほうが、心が躍ります。
なぜなら日本の若者が、そしてショップやメーカーが、他人、他車に、そして外国勢に負けない、速いクルマを造りたくて、試行錯誤してココまでたどり着いた歴史が脳裏によぎるからです。
日本のスポーツカーはメーカーがカネをかけてハイパワーにするよりも、未完成のものをユーザーとアフターパーツ業界が一緒になって作り上げるほうが、魅力的になるのではないでしょうか。
頑張れば、購入出来る価格帯にあり、チューニングのし甲斐がある車を発売して欲しい。
「クルマを作り上げていく」という楽しみが、日本のスポーツカーの醍醐味だと思うのです。
最近、BMWやベンツは当社のお取引先のショップ様に入庫しているケースが増えてきました。
新車は高額だけれど、中古車の値落ちが激しいので、一つ前のモデルなら、下手な日本車より安い場合も多いのです。
BMWやベンツといえば、アルピナ、AMGなどの有名チューナーのコンプリートカーを買う程度で、弄るなんてあまり無かったのですが、皮肉なことに、日本のスポーツカーが枯渇した今、徐々に注目を浴びているといえます。
それにしても、今年のオートサロンは、本当に色んな車種、ジャンルのクルマが展示されています。
これは、ある意味、日本のクルマ文化が発展している証拠かもしれません。
猫も杓子もみなシルビアだの、セルシオだの、オデッセイだの、といった、車種の偏りが無く、ジャンルとしても、ミニバン、VIP、ドリフト、サーキット、ドレスアップ、リフトアップ、クロスカントリー、車中泊と、幅広くなり、それぞれが好みに応じて楽しめる幅があります。
色んなクルマを、色んなジャンルで楽しめる、そんな自由な雰囲気。
ドリフト全盛期に入社したワタシは、FF車の三菱エクリプスD32Aを購入したら、
「バカだろ?FRじゃないクルマは、クルマじゃない」
と言われたことを覚えています。
なんて窮屈な業界なんだろ、と思いました。
なので、今回、有名なキャロッセさんにカローラスポーツを見て感動すらしました。
FFのこのクルマを丁寧に仕上げておられます。
カローラスポーツ、街中で良く見るけど、この車はなんだか違和感…
あ!これフェンダーついているよ!
最近はオーバーフェンダーが人気なので、皆さんやっておられますし、当社もアルトワークス、ジムニーといった競技に使われる車用は製作しました。
でも、車種的には「カローラスポーツだろ?競技に使われることはほぼ無いんだから、フェンダーなんてノーマルで十分だろ」と思ってしまいがち。
「サーキットでタイム争いもいいけど、ユーザーが皆サーキットに行くわけじゃない。クルマを日常において、純粋に楽しめるようにするのも、大切なじゃないか?」
そういわれたような気がして、ドキッとしました。
とにかく多種多様な印象。
まあ、一番びっくりしたのはこの光景ですね。
キャンピングカーショーかと思った…
東京オートサロン2020は、過去類を見ない多様性を感じます。
逆を言えば、流行が無い。
メーカーとしては、適当に商品を作れない、試練の時代になったとも言えるのかもしれません。
さて、No3では、新年のご挨拶をした業者さま、ショップさまたちの、今年のトレンドについてレポート。
No3に続く